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2013/02/19

血管撮影室における工夫と小道具たち。

当院の心臓カテーテル室はGE製Innova3131IQを使っています。30センチFPDが2方向同時に使えるタイプです。心臓と末梢を1台で兼用するため、この機械になりました。
長所は
1:PastedDSAができる。 造影剤15mlから20mlで下記の画像がとれます。他社は少しずつずらしながら画像を作っていかねばなりませんが、GEは何の操作もいりません。自動で一発でとってくれます。両足を同時にスクリーニングできます。ただ、最近はCTAもかなりよくなってきています。

長径が30cm以上で可能なこと、この「うごくDSA」そのものも保存されることから、こういうものにも使っています
2:腎動脈もPIGで2方向同時撮影OK
3:下肢とくにBKA、BAで使うロングバルーンも20cmまでであれば20cm視野で1回で確認できる。22cmのものをみるときには30cmスケールが必要
4:DSAがとにかくきれい!

短所は
1:放射線発生装置(X線管)もFPDもでかいのでCranial、Caudalがふりにくい。
2:特に両Caudal、両Cranialはつらい
3:角度を大きくとらねばならないときはやむを得ずSingleをつかうこともためらわない
4:画素数が大きいため、データ量が多い。すなわち、無圧縮のDICOMデータをためていくとあっというまに画像サーバがいっぱいになる。(当院では1/4圧縮でためているが本当は1/2圧縮程度がよさそう。学会・研究会で出している動画より、実際のIVR施行時はずーーっと鮮明で細かいところまで見ることができます)

工夫点は
1:レールをできるだけ長くする。8面モニター(Biplanex2+ポリグラフ+IVUS/CT/エコー+電子カルテ/外部入力)を回転させて使うためにはレールを基本仕様より10cm延ばすことで対応できる!また、縦軸と横軸のレールを基本仕様と逆に組み合わせることでよりモニターの自由度が増す
2:オフセット構造なので、Frontalを真横にして使うときは、アームが術者側にくるほうがよい。(1と2は北光記念の野崎先生に教えていただきました!)
3:ピットをほり、完全にケーブル類を床下に入れたことで電気生理・アブレーションのときのノイズを低減できた。フルフラット構造なので、点滴台が倒れたり、誰かが躓いたりすることもない。
4:天井の調光を3系列にした(蛍光灯2系列、スポットライト1系列)ため、IVUS、複雑な血管撮影、EPSからペースメーカー植え込み時の高輝度まで対応可能となった。また、そのことで線量を落とすことも可能となり、被曝線量も低減されている。
5:メディアボックスを設置したことで、いろいろな機器(D-SUB15対応)がつながるようになった
6:CE、看護師専用モニター(リアルタイム2面)をポリグラフ周辺におくことでコメディカルの被曝が低減された。ポリグラフは実際の術野から3m以上離れている。このモニターがなかったときは「どの手技をおこなっているのか」不明であったが、追加以後非常にパフォーマンスがあがった。
7:操作室のモニターは殆ど壁に直付け、2段構造とし、テーブルスペースが有効活用できるようにした。
8:ジュラルミン製の操作台を追加した(GE)。足の上で不快な操作をさけることができる。また滑り台(可変チルト)をつけたことで、段差もなくスムーズな操作が可能となった。透明なカバーを使用すると、患者さんの顔色も確認できる。

基本的には二つのブリッジ構造(3ブリッジあったがアシストと干渉するため廃止)
(奥に見えるのがポリグラフと臨床工学士、看護師用モニター)

この滑り台は取り外し可能、また、高さの調節も可能。体格に合わせた調整ができる
また、天板は土台を脚を固定した状態で5cm程度スライドできるため、撮影→山越PPIとなる場合、ちょっともぐってスライド板をつけ、数センチ移動させるとそのままPPIができる。


ペースメーカー植え込み時はペースメーカーのメーカーが作成しているヘッドカバーとほぼ同じ高さなので、ストレスがない。
エッジは落下防止、液だれ防止のための小さな突起。手前はチルト式可動台をつけるためのジョイント。本当によくできている

このように非常に広いスペース。ペースメーカー、アブレーション、300cmワイヤーを使用するOTWシステム、CASのデバイスもまっすぐな状態で使用可能

9:DSA対策に診療放射線技師が足台を手作りした。余っていたスポンジをカッターナイフで削って作成。(Ver.3でかなりいいものになりました)

足をこのように入れる。反対側の足は反対の溝で入る。

当初はきりとったもの(右上)でおさえていたが、CLI患者さんの痛みに対応するためやわらかいスポンジに変更。三角にしたことで、少しでもFPDが近づけるような工夫となっている。




カッターナイフで削った努力の跡がみられます。
(このオリジナル足固定具はさらに改良したものを、近日インターベンション関係の学会で発表予定です)
10:カテ台のマットをテンピュールにした。そして通常は10cmや7cmのものを使用するところを5cmにした。これにより患者さんの絶対高が2cm低くなるため、Biplane使用時の高さをかせぐ事ができる。また、軽くなるため台の移動がすこし楽になる。さらに、オリジナルのスポンジマット用ビニールカバーに入れられるので清潔も保たれる。
11:2時間以上の手技を行う場合、テンピュールは必須と考える!

なお、ピットにはアルミ板をいれることで、交流波のノイズを低減。EPSのときの鮮鋭な波形をだすところで貢献してくれています。

患者さんのために、よりより血管撮影を行うため、より安全なPCI、PPIを行うため、より精度の高いEPS・RFCA・PMIを行っていくため、医療従事者側の被曝低減、手技時間の短縮による肉体的・精神的負担の軽減、少ない人数でのオペレーションを可能とすることを目的で改良を重ねてきています。田舎の病院では、若いコメディカルスタッフがなかった場合「自分たちで作って」くれることが多いので、とても楽しいものです。

2.19ご指摘をいただいた点につきましてUpdateさせていただきました。

2 件のコメント:

  1. 初めまして。GE製?のカテ作業台について教えてください。
    市販品でしょうか、品番等有れば教えていただけますでしょうか。
    特注品であれば金額はどの位でしたか
    宜しくお願い致します。

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    返信
    1. カテーテル室をつくったときに、GEさんに作成していただきました。設計図はあると思いますが、おそらく特注になりそうです。剛性、軽量化のところからジュラルミン素材にしていただいたため20万から40万くらいだったと思います。
      金額以上の価値は十分にあります

      削除

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