Amazonサーチ

2013/06/25

心不全に対するトルバプタン(サムスカ)の可能性

Made in Japanの利尿剤に「サムスカ」という薬があります。これまでの利尿薬とは全く異なるバソプレッシンに対する拮抗作用で、「水利尿剤」と呼ばれるものです。
さて、今日はその作用を痛感しています。
糖尿病、左室収縮能障害軽度(EF40%)、認知症のある70代の患者さんです。炎症とTPNによる低アルブミン、低Na血症(Na-110)を伴っていました。BNPは440とたいしたことはありませんが、両側胸水、腹水、顔面浮腫、下腿浮腫を伴っています。
まさに、サムスカが得意とするCaseです。
まず、メイン補液は1日1000mlベースとしておいて、アルブミン補充+ラシックス20mgのIVで利尿がつくことを確認、サムスカ7.5mg(1Tは15mgですが、初回は7.5mgで十分です!!)を投与。
2時間後:尿量2000ml 血圧低下なし、心拍数上昇なし
4時間後:尿量4000ml 血圧低下なし、心拍数10上昇 Na117にUP
8時間後:尿量5000ml 血圧低下なし、心拍数は4時間後と変わらず Na120にUP

橋中心髄鞘脱髄をおこさないようにするため、48時間で25mEqまでの上昇に抑えねばならないため、今日はここまで。明日のLDを見てもう一度投与するか決めるところです。明後日CTをとりますがどこまでよくなるか楽しみです。
なお、1Tが2500円と高価です。DPC病院にはほんとに痛いです。しかし、HANPを使用するよりは格段に安く、血圧も低アルブミンの場合に補正をかけておけば、下がることはほとんどありません。さらに、ラシックスの増量によくありがちな、低K血症、急激な血管内脱水による急性腎不全なども起こりにくい印象です。DPCの区分に「トルバプタン使用」というサブコードができれば、急性期心不全、慢性心不全のASVにつづく新たな治療として、今後まちがいなくスタンダードとなるでしょう。厚生労働省さん、日本のとってもいい薬です。是非育ててください。
http://www.otsuka-elibrary.jp/di/prod/detail/init/sam

7.5mgも発売されたようです。また、肝不全による腹水にも保険適用となったようです。大塚製薬は徳島に本社がある四国の会社なので、ATOKのジャストシステムとともに応援したいところです。MRさんもたまには病院に顔を出してください。

注意事項や制限もあるので、そこは取扱注意です。

(下記 大塚製薬のサイトより)

<高ナトリウム血症の回避>
page1image15792
◎入院下で投与を開始・再開すること ・急激な水利尿から、脱水症状や高ナトリウム血症が報告されています。 ・入院下で投与を開始・再開し、頻回に血清ナトリウム濃度を測定することが必要です。
◎適切な血清ナトリウム濃度の測定を実施すること ・投与前値を確認の上、投与を開始してください。
・少なくとも投与初日の投与開始 4~6 時間後並びに 8~12 時間後に測定すること。 ・投与開始翌日から 1 週間程度は毎日測定すること。 ・その後も投与を継続する場合には、適宜測定すること。
◎本剤投与期間中に限り必要に応じて飲水制限を緩和すること ・本剤は、電解質排泄の増加を伴わず体液の過剰な水分のみを排泄する水利尿剤であるため、血清ナトリ
ウム濃度を上昇させることがあります。このことから、飲水制限を行っておられる患者への投与に際し ては、飲水量、尿量、血清ナトリウム濃度を十分に観察しながら、本剤投与期間中に限り必要に応じて 飲水制限を緩和して体液管理を行う必要があります。
◎高ナトリウム血症の発現・増悪のおそれがある「禁忌」の患者には投与しないこと ・口渇を感じない又は水分摂取が困難な患者には投与しないこと。 ・高ナトリウム血症の患者には投与しないこと。
◎本剤単独では投与しないこと
・本剤は水排泄を増加させるが、ナトリウム排泄を増加させないことから、他の利尿薬と併用して使用す ること。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

SPAMが増えています。特に外国語コメントのリンクはぜったに踏まないようにしてください。

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。