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2014/10/23

「有意差」「非劣性」を作るための統計解析などいらない。

明日、いよいよ当院でのSTART Live and Conferenceが行われます。着々と準備はすすみ、音声環境も完全に改善されました。続々と搬送されてくる治療用デバイスは段ボールで100箱。ディーラーさんの若いスタッフが黙々と大型ワンボックスで事務所と往復してくださっています。「治療にあたりデバイスの問題で時間がかかる、成功率が下がるのはディーラーの恥」というポリシーでやってくださっています。地方都市では「よくこれだけのものがこの時期に揃いましたね」というレベルで、毎回日常のカテーテル手術においてもそろえてくださっています。
末梢治療では、病変の血管径、長さ、対象とする種類(完全閉塞、長い距離の狭窄、一部のみの狭窄、高度石灰化、ステント再狭窄や最閉塞など)も多岐にわたること、特に重症下肢虚血で足切断回避のためには、複数箇所の徹底的な治療が必要になることもあるため、大変なものとなります。医師自身が本気でデバイスに関しての知識を得て、主体性と自律性をもち、デバイス選択を行うことで、患者さんにとって本当によい治療ができると確信しています。なので、デバイスに関しては一生懸命勉強しています。

さて、明日のSTARTのランチョンセミナーの準備です。臨床工学技士さんが、透析患者におけるSASの有病率について、統計解析をしてくれました。認知症や超高齢などあきらかにSASと判明しても治療ができない、あるいはSAS検査すらできない方を除いた「全員」にスクリーニング検査をしてくださいました。
想像通り、一般に報告されている非透析患者さんよりも明らかに高い有病率ではありましたが、これまで報告されている透析患者さんの有病率とはかわりがありませんでした。そこで、背景因子(腎不全の原因、合併する心不全や拡張障害、心室壁肥厚、年齢、透析歴、など)で何かメルクマールとなるものがないか、探していただくことにしました。
この先を書くと、結論になってしまうのですが、有意差、でませんでした。技師さんは「有意差のない、相関曲線の書けない統計で発表などできない」と嘆いていましたが、それは本当に嘆かねばならないのかというところです。
データねつ造は論外として、近年、世の中を騒がせている「有意差」「非劣性」を行うための恣意的な患者選択、サブ解析というのは僕は絶対に信用しません。
当院はSmall-Centerですが、それだけに統一プロトコル、ALL-COMMERのデータというのをモットーにしています。

もちろん、有意差、有用性、優性、劣性、相関曲線、これらの言葉は私も大好きですし、そのような論文はきれいにまとまっています。しかし、有意差がなし、相関性なし、それもそれで立派なデータなのだと思います。逆に、これまでの結果と差がないということを証明したことは、当院の診療方針がHigh-Volume-Centerと大きくかけ離れていないことがわかります。その後、High-Volume-Centerでは絶対にできないALL-COMMERデータを詳細に追跡し、一例一例を丁寧に解析することで、「患者群」ではなく「患者個人」に対応した臨床診療ができると誇りに思っていただきたい、と伝えました。

決して有意差、非劣性、相関、という言葉は必要ではないのです。それらの傾向があることで「合併率が低い」とされるグループでその合併症あるいは併発疾患を見逃しがちになってしまうということは絶対に避けねばなりません。どの患者さんに対しても注意をはらい、フォローをつづけていく、そのために臨床はあり、データ提出もあるというのが私の考えです。

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