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2016/02/16

EVT術前検査の比較と最新情報

久しぶりの更新です。やはり冬は循環器科の緊急患者(心不全、不整脈、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症)が多く、本来の業務が忙しくなる上、お手伝いさせていただいている内科救急や当直も肺炎、発熱、嘔吐下痢症、インフルエンザ、脳出血などで忙しいものです。
当院では末梢血管治療を年間約100例のペースで行っていますが、2011年以後は私のポリシーで「検査のための侵襲検査は極力行わない」ということで症状+ABI+体表面超音波検査による術前検査と術後フォローを行っていましたが、それではどうしても不十分なところがありました。
他の施設では、3D-CTAngioという造影CTを行っているところもありました。しかし、造影剤を使うことに抵抗がある患者さんが非常に多いことが現実となりました。また、単純CTから血管走行をシミュレーションするという手法を北光記念の野崎先生や時計台記念病院の浦澤先生に教えていただき、それも活用させていただいていました。また、冠動脈CTにおいてCTOのワイヤリングに単純CTが有用であることを北播磨医療センターの山田先生、野崎徳洲会の奥津先生におしえていただき、活用していました。
それでもどうしても「石灰化が凄まじい透析患者さん」については情報が不十分となることもありました。そして昨年、当院ではMRIが更新され、そのころから末梢動脈をMRIで評価するということを積み重ねてきました。

その結果、禁忌事項が無い限り、これらの検査を組み合わせることで、最強の術前評価(PPIにむけての治療戦略、ゴールライン、患者説明・指導)を、すべて「外来」で「造影剤の使用もなく」「直接動脈穿刺もなく」行うことができることがわかりました。



エコーで流体力学に基づいた血流評価(エネルギーロスなども評価できる)とプラーク性状、穿刺部の性状を詳細に確認、単純CTで石灰化の程度、血管走行、骨と血管分岐や走行の位置関係、血管の閉塞または狭窄による筋肉量の評価、万が一に備えて血管周囲の腫瘍(腫瘍からの圧迫による動脈狭窄もある)や動脈瘤の有無を評価、そして、「非造影」MRAで実際の血流にもとづいた血管内腔評価や大血管の分岐、同時に重症下肢虚血の場合は膿瘍や骨髄炎の有無、深達度を診断するということが可能です。体表面エコーから血流の流体力学の話は北九州市立病院の原田先生に、CTによる筋肉量評価やMRIによるCLI評価については当院整形外科の白形部長におしえていただいたことです。

閉塞性動脈硬化症、とくに「重症下肢虚血」はとくに糖尿病・透析患者さんでは動脈硬化疾患の「最終形」となっていることが多く、穿刺にともなう合併症や末梢塞栓、血管損傷などもどうしてもつきものです。さらに、手技時間がながくなることによる苦痛や血栓症のリスクも伴います。それに対し、診断・治療において、少しでも安全で、遠隔成績のよい(当院では<<18ヶ月>>のSFA-Long CTOに対するTLR4%未満)EVTを実現し、結果を出していこうと考えています。

講演の機会をいただけましたら、具体的な症例提示もあわせて、お話することがようやく可能となりました。 これまでたくさんのことをおしえていただいた先生方、そして、無理難題を押しつけてもちゃんと僕が満足し、患者さんの治療にとって有用な画像を作り続けてくれている臨床検査技師、診療放射線技師のチームスタッフに感謝です。

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