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2016/11/10

ようやくダビガトランの拮抗薬=イダルシズマブが発売決定。

第一世代のNOACであるダビガトラン(プラザキサ)が発売されて5年以上。ワーファリンに比べて、「適正量の使用であれば」抗血栓効果は同様で、中枢神経出血は「非劣勢」あるいは「少ない」というNOAC達の致命的な弱点であった拮抗薬がない、というところがようやく克服されつつあります。この薬の特長は「ダビガトランの拮抗」であって、トロンビンやXaに対する作用はない、というところで、あくまで「ダビガトランのみに使用」となっています。
薬価はまだ未収載ですが、事前情報ではかなり高価だ(10万円以上!)とのことです。
このような薬は外傷、致死的な出血性合併症(脳出血、消化管出血など)に対して緊急で使用しなければならないため、薬事審議会で薬局長と院長に採用申請をお願いしたものの、はたして、使うのだろうか?という疑問はありました。ただ、NVAFを診療し、西条市内の救急を輪番制で受けねばならない立場の医療機関として、拮抗薬が発売されているにもかかわらず、緊急で対応できない、ということはあってはならないので採用しましょう、という見解をいただきました。ありがたいことです。加えて、この薬は外来で使うようなものではないため、入院での使用すなわちDPC病院では持ち出し10万円となります。これは早く診療報酬点数のところで何とかしていただきたいものです。

もっとも、私は非弁膜症性心房細動の血栓塞栓症予防目的で使用するNOACはその内服アドヒアランスのよさと効果の高さ、中枢神経出血がワーファリンに比べて有意に低い、という点から全例エリキュースを使っています。おそらく、他の先生方も同じだと思います(最近はリクシアナが増えているという話もあります)

さて、これでダビガトランのシェアはかわるのでしょうか?個人的にはあの大きなカプセル(110)、あるいは中型カプセルを2個(75を2個で150)を飲むのはつらいこと、そして、220だと効果がイマイチ、300だと出血傾向がでやすくなる、というところ、腎機能による制限があることからも、どうなのかな、と思っていますが、脳神経外科の先生方は処方されていることが多いようです。

現在エリキュースを内服されている患者さん達にも、ダビガトランは拮抗薬が存在するようになった、という一通りの説明を、イダルシズマブ(プリズバインド)が使用可能な段階となった時点で、腎機能の関係で使えない方以外には、全員に行わねばならないか、と思っています。はやくエリキュースやリクシアナの拮抗薬がでてほしいのですが、まだまだ先のようです。

以前、アブレーションの山内先生(横浜みなと赤十字病院)に講義をいただいたときのワーファリン、NOACについての見解をまとめると、
1:ちゃんと内服できる患者さんにとにかく抗血栓作用をしっかり効かせるならダビガトラン300mg2x そのかわり出血性合併症や消化器症状は強い
2:メルクマールはないが、のみやすく、効果が高く、出血性合併症も1に比べると低いエリキュース
3:2で1回内服になったリクシアナ
4:とにかく安くて、皆が使い慣れていて、PT-INRというメルクマールがある、が圧倒的に手間がかかり、中枢神経性合併症も多いとされているワーファリン。
とのことでした。

患者さん向けの説明パンフレットを薬剤師さんにつくっていただくしかない、と思いつつも、自分だったらエリキュースだな、と思ったりも。

http://prizbind.jp/