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2017/08/30

天体写真をもういちど撮ってみる

一昨年から本格的に再開した天体写真。1989年12月3日の金星食の写真、1990年の土星の写真がそれぞれコンテストで賞をいただいている。
その頃は、5cmの小さな屈折望遠鏡(でもフローライト!)を手動の赤道儀(P2S)に載せてのものであったが、その後、NJPとMT-200という反射望遠鏡を使っていた。
東京時代、秋葉原が近かったことから、当時20万円ほどしていた9cmの屈折望遠鏡(SKY90)をなんと処分品12万円で購入!当時「画期的」と言われた短焦点2枚玉フローライトであった。これを、高橋製作所が誇る「名機」P2-Sに積んでいた。このP2-Sは本体6kg、搭載重量6kgという鋳物でできた美しいもの。極軸望遠鏡の倍率も高く、ギアの精度もすごくよい(NJPや90Sの系列)ため、オートガイドなどを使用しなくとも、ノータッチガイドで300mm5分、10分と対応ができる素晴らしいモデルで今も愛用しており、オーストラリアにも持って行ったことがある。
1989年製だが、2015年に2万円で全分解製造。26年も経った12万円(当時)の機械を約1ヶ月かけて完全に新品同様となるメンテナンスをしてくださったメーカー(高橋製作所)に敬服である。


この上の2枚がSKY90で撮った写真。フローライト(蛍石)レンズは屈折望遠鏡の宿命である「色収差」を極限までカットできる高級望遠鏡、とのことで、タカハシとビクセンがフローライト、PENTAXがED(のちSD)レンズを使ったモデルを採用していた。「望遠鏡は口径こそが正義」ということは間違いない事実であるが、この色収差の問題があまりもひどいこと、口径が大きなものは大気の状態がわるいともろにその影響をうけ、画像がみられるため、日本の都会では9cmから10cmのフローライトを使用した屈折望遠鏡がちょうどいいと思うことは今でも変わらない。 2枚玉と3枚玉があるが、2枚玉は軽量で温度もすぐになじむ、3枚玉は高性能だが、重く、使用までに時間がかかる、という弱点がある。


こちらが、現在の主砲であるTOA-130。13cmの3枚玉ED。焦点距離は1000でF7.7と写真撮影には暗め、ではあるがその分「色収差はほぼなし」という恐ろしい屈折望遠鏡になっている。下はその補正レンズであり、タカハシの特長である豊富なコンバーションレンズ(同じ焦点距離のまま色収差や周辺の流れを修正するフラットナー、焦点距離を縮めかつ色収差や周辺を補正するレデューサー、そして、焦点距離をのばしかつ色収差や周辺を補正するエクステンダー)の一部である。現在は中判カメラ(PENTAX6x7)あるいは大判、などを使用することがなく、殆どが冷却CCDやCanonのEOS、NikonのD810Aなどフルサイズ一眼で撮像されることが多く、645対応のレデューサーは既にディスコンとなっていた。67フラットナーもいつまで発売されるか分からないとのことで、前者はオークションで中古を探し(滅多にでない)、後者は新品をがんばって購入した。新品はそれぞれ18万、10万と10cm程度の望遠鏡くらいするが持ってみると納得のレンズ径・枚数であった。いずれもネジがきわめて硬く、ベルトレンチを使用して、外すこともある。
この645レデューサーを使用したとき、前が3枚、後ろが4枚という構成となり、通常の屈折望遠鏡からペッツバールになる。すなわち、写真撮影にきわめて適した望遠鏡に生まれ変わってくれる。このTOA-130には軽量化された接眼部のあるSタイプ(TOA-130NS)と、従来ながらの回転装置つき大型接眼部であるFタイプ(TOA-130NFB)がある。もちろん売れ行きはEM-200にも載るNSが殆どで10万ほども高価なNFBがでることはほとんどないようで、注文してから納品まで3ヶ月を要した。

タカハシはフローライトのメーカーであったが、近年はEDレンズも使用したモデルが多い。残念なことに、タカハシのTOAはその多くが、米国、欧州に輸出されているようで、アストロフィジックスなど海外の高級ブランドの1/10の価格で同じかそれにまさる性能、ということが評価されている模様である。日本でももう一度評価してほしいものと思っている。
M31(TOA-130+PentaxK-3) 補正レンズがないと、周りが黒くなる。
赤道儀はこれも1990年製のNJP。赤経240枚というギアは今でも高橋製作所の中で随一の枚数すなわち、精度である。が、弱点は、大きく重いこと。出し入れは分解して行うか、台車に乗せて移動しなければならない。加えてもともと反射望遠鏡を乗せていたため、短い三脚であることから地面にシートをしいて寝そべって使用していることもある。高さをかさ上げするためのハーフピラーがかつては販売されていたが、現在、NJP用は販売されておらず、困っている。

こちらはM51(りょうけん座のこもち銀河) 67フラットナーを入れると周りもきれい

明るい打ちから外に出し、気温になじませる必要があるもちろん、レンズも外に出す。冬は結露が大敵であるため、玄関にしばらくおいて温度をなじませてから翌朝格納する。望遠鏡は「きわめて神経質」。

しかし、TOA-130+NJPはその神経質さと大きさから「今日は天気がよくていいなあ」とかるい気持ちで出動させることが困難であり、稼働が年10回未満となっていた。ちょっと外に出して写真を、という機種を探していた。もちろん、色収差がない、コマ収差がない、ものを・・・そのところ、中古のFSQ-106ED(最新型の4枚玉EDアポクロマート)をゲットすることができた。当時、9cmと10cmの違いなど微々たるものだろうとP2Sなら乗るのでは、とたかをくくっていたところ、とんでもない勘違いであった。そもそも太さがシマヘビとマムシくらい違う。
本体は7kgとされるが、プレート、バンドなどを入れると軽く9kgとなり、明らかにP2では積載オーバーとなってしまった。またまた、気長にオークションを探し、旧モデルのEM-11Temma2Jrをゲット。これは8.5kgまでとなってはいるが、ビクセンのSXPよりも頑強で、
SXPとセットで売られていることが多い106EDも大丈夫だろう、、というもくろみであった。もちろん、のったが、バランスウェイトは追加が必要となった。

FSQ-106ED+EM-11とSKY90+P2sの比較 ハイエースとハコバンくらい違う。
EM-11には不似合いな大きな三脚はメタル三脚SE。将来的にEM-200でも載せられるようにしておいた。EM-200になると、かなり大きくとっても「ちょっと出して」というものではない。この106EDも、ちゃんと銀河の写真を撮るためには、EM-11では厳しい。やはりEM-11には、2枚玉のFC-100Dがちょうどよいのかもしれない。このFC-100Dは本体こそ20万だが、レデューサーが10万する。もちろん、レデューサーを使ってこそのタカハシ望遠鏡であり、その性能は認めるが・・・


これらが、FSQ-106で撮った月。上のものと違い、輪郭の色のにじみが全くない。

いろいろ、人柱になりながら撮っていこうと思う。

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