Amazonサーチ

2012/07/04

より低侵襲なPPIをめざして

より安全で、低侵襲なPPIを目指した試みを行っております。そもそも、下肢に狭窄病変がある患者さんの病変がない場所あるいは反対側とはいっても穿刺を行う訳です。当然動脈硬化は全身におきているものであり、穿刺するものの太さはほそければ細いほどよい訳です。
これまで、特に腸骨領域の血管形成は7Frという太さのものが主体でした。2008年頃に入り、自己拡張型ナイチノールステント(SMART)の普及により、6Frまで細くなりましたが、それでも造影ができないという条件下です。そこで、最近Slender Club Japan workshop in Higashikaniで教えていただいたBare SMART Stentingテクニックを導入いたしました。
まず、4Frという診断カテーテルと同じ太さのシースを入れます。(Cordis Brightchip 4Fr11cm)そこからワイヤーを通し、反対側、病変がある血管にCrossします。0.014ワイヤーを短い山越し用カテーテルに通します。そこで、IVUS(血管内超音波)をみたり、圧格差をみたりしてしまいます。(Ruby あるいは圧・FFR測定をするときはPrime)


MPカテーテルであればよほど強い石灰化がない場合、しっかりとRubyをSFAのMiddleまで入れた状態であれば、山越しします。抵抗はほとんどないはずです。
4Frカテーテルを根元まで入れた状態でRubyを抜去、TerumoのRadifocus Stiff300cmに交換します。POPあたりまで入れておけば安心です。先端をちゃんとナックルにし細い血管に迷入しないようにしておき、穿刺部をおさえて4Frシースを抜去します。その際、麻酔をしっかりきかせてあげます。きちんと押さえてあれば4Frなので6Fr以上のように大血腫を形成することはほとんどありません。
助手はうしろからSmartをいれ、術者がデリバリーします。シャフトのところまで入ってしまえば、出血はほとんどありません。(4Frブライトチップ、4.5Frペアレント)この症例では、SFAにも80%病変があり、そちらにもこの方法でSmartを留置しましたが撮影はCIAの75%狭窄のみでした。石灰化はIVUS上半周、圧格差が40mmHg程度あったため、PPI適用としています。
ここからが少しポイントですがSmartは通常リリースする際、シャフトをまっすぐにして力がかかるようにした場合、往々にしてジャンプイン(先に進む)ことが多いのですが、Bareスマートの場合、刺入部をやや押さえ気味にしているためか手前に引けてくることが多いので注意です。少し刺入部のカバー部分を左手で引き気味にしておいて、まっすぐにしたリリースコントローラをゆっくりと操作します。動画ですこし前後させながらリリースしているところがわかっていただけると思います。
助手はこの間に4Frシースをくみ上げています。Smartを抜去、Stiffの中からシースを入れ、先ほど使用したカテーテルでワイヤーを0.014のものに交換します。
SFA、CIAのステント内をそれぞれ拡張します。4Frであれば、最大のバルーンはボストンのスターリング8mmとなります。他社のものは8mmは入りません。今回はSFAにBandicoot(SJM・カネカ)の6mmを使用、CIAにスターリングの8x40mmを使用しています。ステントはSmartの7x40mm、10x40mmです。CIAにはExpressがよいという話もありますが、位置決めがきちんとできるのであれば、Selfの方が安全です。特に、心臓・血管外科がない施設では、胆管用のカバードステント、大動脈遮断バルーンも準備した状態で行っても腸骨動脈領域のPPIは本当にこわいものです。


最後の仕上がりです。ACTが250秒であっても、止血はアルジメルト(止血パッド)を使用し10分です。4時間後には座って食事をとることができます。そのあとはトイレにもいくことができます。この患者さんは膝下動脈もほぼ閉塞または95%狭窄となっており、運動療法は大切です。In-Fllowを十分に確保するという意味でも腸骨・浅大腿領域に対する完全血行再建は重要だと考えます。
クオリティーの高いIVRをより低侵襲に、短時間に行う。単純病変を行う場合の大きなテーマです。
技術、ノウハウをつつみ隠さずご教示くださりました春日部中央総合病院の安藤先生をはじめSlender Club Japanの先生方に深く感謝申し上げます。今後は炭酸ガスやエコーを使用し、造影剤も可能な限りカットできるように挑戦し続けたいと思っております。

0 件のコメント:

コメントを投稿

SPAMが増えています。特に外国語コメントのリンクはぜったに踏まないようにしてください。

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。